交通事故の損害賠償は誰にできる?

 

交通事故の遭った場合、損害賠償は、加害者(運転者本人)だけでなく、
業務中の場合などは、
加害車両の運行供用者や、加害者の使用者にも請求可能なケースがあります。

 

<加害者以外にも請求できる可能性がある>

 

  • 運行供用者:自動車の運行支配(所有または使用権利を持っている人)があり、
    その自動車の運行によって利益を得ている人のことです。具体的に、事故を起こした車の所有者(車を他人に貸していた場合等)、
    運転手が事故を起こした、バス会社・タクシー会社・運送会社などです。

 

  • 使用者:事故を起こした加害者が従業員で仕事中に事故を起こした場合、
    被害者は加害者側の会社に対しても損害賠償を請求できる場合があります。

 

<特殊な賠償責任を負うケース>

 

加害者以外の人が賠償責任を負う特殊なケースがあります。
特例としては、死亡した加害者の相続人が損害賠償責任を相続する場合や、
加害者が未成年であった場合などです。

 

○加害者の相続人: 事故により、加害者が死亡してしまうケースもあります。
その場合、加害者の相続人が、財産だけでなく、
死亡した加害者の賠償責任も相続しますので、
相続人に対して損害賠償請求ができます。

 

○その他: 加害者が未成年の場合、責任能力があり、
法的判断ができると認められる場合は加害者本人が責任を負います。

責任能力がなく、法的判断ができない場合には、
加害者の親や後見人などが責任を負うことになります。

 

 

<被害者に対する賠償責任>

 

加害者に対し損害賠償請求する根拠となる法律には、
3種類の賠償責任があり、下記の相手に対し賠償請求を行うことができます。

 

  • 使用者責任

民法第715条:

1.ある事業のために他人を使用する者は,
被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

ただし,使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき,
又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは,この限りでない。

2.使用者に代わって事業を監督する者も,前項の責任を負う。

 

  • 運行供用者責任

自動車損害賠償保障法 第3条:

自己のために自動車を運行の用に供する者は,
その運行によって他人の生命又は身体を害したときは,これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。

ただし,自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと,
被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと
並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは,この限りでない。

 

  • 不法行為責任

民法第709条:

故意又は過失によって、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第719条:

数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、
各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。

 

加害者に対し損害賠償請求する根拠となる法律には、3種類の賠償責任があります。